2013年の茨城県一本桜巡りもいよいよ最後の一本となりました。
春から長期に渡り連載してきましたが、飽きずにご覧いただいた皆様にお礼申し上げます。
一言で桜名所といっても様々です。
当ブログでは一本桜にスポットを当てて、県内のありとあらゆる名木古木を追いかけてきました。
全国でも一番ではないかとされる福島県の桜。
三春の滝桜をはじめ、自分は福島県で一本桜の魅力にとりつかれ、毎年の撮影行が楽しみとなってました。
そんな中で故郷茨城に戻ってくる機会に恵まれ、じっくりと地元の桜を巡ってみようと考えました。
いわずもがな、桜は日本人の心です。
故郷の誇りある風景というテーマを掲げた時、まだまだ知られていない一本桜は、まず追いかけてみたい被写体でした。
いったい県内にはどんな一本桜があるのだろう。
茨城県において桜名所というとやはり桜並木を思い浮かべます。
正直に言うと、茨城県において、一本桜というのは、あまり、いや、ほとんど聞いたことがありませんでした。
ところがどうでしょうか。調べてみると百本を越える名木の数々が、北から南まで様々な市町村に存在しておりました。
福島県は枝垂れ桜や江戸彼岸桜の古木が多いエリアでしたが、茨城県は大半が山桜というのも、また福島県とは違った魅力となりました。
今年最後の一本桜として掲載するのは、茨城県内において百本以上ある名木古木の中で特に素晴らしいと感じた桜です。
松岩寺の山桜
松岩寺
高萩市下君田1569
山桜
樹齢300年
樹高20m
幹周5.6m
県指定天然記念物
高萩市の山奥、標高360mの集落に位置する名刹松岩寺。
境内の斜面に咲く、山桜の古木です。
太い幹から縦横に大きく枝を広げて、斜面を覆い尽くさんとばかりに、咲き誇ってました。
高萩市に、いや、茨城県にこのようなスケールの大きい一本桜があったのか!?
一言で言えばそのような感動でした。
憧れの桜、福島県郡山市の「紅枝垂地蔵桜」を彷彿とさせる枝振り。
しかしこの桜は山桜。
なんて素晴らしい一本なのでしょうか。
満開と同時に散りはじめる山桜。
その存在感とは対照的な儚い一瞬の華。
紛れもなく、茨城県の横綱にふさわしい一本桜です。
新しいもの、新しいことというのは楽しく刺激的でありますが、そこに人が住んできた以上、地域の歴史と誇りは必ず存在しています。
それら古き良き情景もまた刺激的です。
撮影 2013年4月