2010年、いわき市桜巡りの中で出会った寶林寺のベニシダレザクラ。桜というものは日本人の誇りというけれど、それをはじめて実感した桜です。筑波山を開山したことでも有名なお坊さん徳一大師創建の寶林寺。本堂前の桜は映画・超高速!参勤交代で話題の「磐城湯長谷藩」を立藩させた「内藤義概」によって寄進されたと伝わっています。
桜の傍の碑には、昭和38年にこの地区を襲った大火事が、本堂や山門などと一緒にこの桜も焼いてしまい幹の大半を失ってしまった。しかし樹皮の一部から芽が出ていたことから、樹木医によって治療され花を咲かせるまで復活したとありました。裂けた幹を見て桜とはなんて強いんだろうと感動しました。美しい地域の風景は地域の誇りでもあるんだ。いわきの桜巡りをしていてその事に気がつきました。2010年当時連載していたブログ「いわき百景」にて、「PRIDE OF IWAKI いわきの誇り」というテーマを掲げました。このテーマは現在常磐百景の活動テーマである「常磐賛歌」につながる大きな軸となりました。この軸があったからこそ、ぶれずに連載してこれたと思っています。
福島の情報誌Mon mo2012年春号の特集「ふるさとの桜」にて、この写真を使っていただきました。2011年3月の東日本大震災で甚大なる被害を受けた福島県。この特集はその1年後に想いを新たに愛でるふるさとの桜と題して掲載されました。昔からお寺は人々の心の拠り所であり、ご先祖様が眠る地でもある。そこに咲く一本の枝垂れ桜。震災で被災した方々の心の支えになったことは想像に難くありません。