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Channel: 茨城一本桜番付 平成春場所
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【桜随筆8】嗚呼、黒田のシダレザクラ

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【桜随筆8】嗚呼、黒田のシダレザクラ

いわき市の桜名所全てを撮影したいと意気込んでいた2010年春。桜の老木である一本桜についても、その場所と開花情報を調べては訪問を繰り返しました。そうした中「一本桜は主に神社仏閣に多い」ことを体感しました。桜に限らず杉や欅なども同様で、管理が行き届くという面、そして神聖な場所ゆえに伐採などにも合わない環境が、必然と神社仏閣に多く老木が残ることにつながっていることは間違いありません。
そういった意味で捉えると、近代化に伴い道路整備が進んできた日本において、旧街道沿いに咲く一本桜は伐採と紙一重だったのではと思います。いわき市田人町「黒田のシダレザクラ」は、県道に覆いかぶさるように咲いていて、まさに街道沿いに咲く一本桜。神社仏閣とはまた違った一本桜の風情を感じました。樹齢200年、市指定保存樹木。近くには歴史ある「黒田不動堂・県指定重要文化財」があることで有名な地区です。おそらくこの県道134号線は昔からの街道であったことは容易に想像できます。この道が舗装されるずっと前からここに咲いていた桜。街道を行き交う人々がどんな気持ちでこの桜を見ていたのだろう。撮影しながらそのような気持になりました。

この黒田のシダレザクラですが、2015年1月の大雪により枝が折れてしまい、主幹を残して枝の大半が剪定されました。桜を生かすためのやむを得ない判断だったのだと思います。開発による伐採も含め、自然災害や病気といった脅威を乗り越えて何百年も美しい姿を保ち続けることは、老桜にとってもはや奇跡に近いと実感しています。いわき市の桜名所を全て撮影したいという思いで辿り着いた黒田のシダレザクラ。写真は下手ですが、実際にこの目で見た感動、その瞬間を記録しておくことができて良かったと感じています。
2015年9月現在、googleストリートビューを覗いてみると、まだ伐採以前の写真で、青々と葉が生い茂ったシダレザクラの下で遊ぶ親子の姿がありました。

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